体に悪いといわれる油の中に「トランス脂肪酸」と呼ばれるものがあります。
聞いたことはあるけど、どうして体に悪いのかまではわかりにくいですよね。今回はトランス脂肪酸が体に及ぼす影響や、体のために選びたい油を紹介します。
■食油に含まれるトランス脂肪酸はなぜ人に悪影響がある?
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすことから問題視されています。
このことで、動脈硬化や心疾患を招くといわれていることから、体に悪影響があるといわれているのです。
トランス脂肪酸は、製造するときに水素を加えることで生まれます。
もともとは液体の油に水素を入れて、固形に近い状態にするというのが目的です。マーガリンやファットスプレッドがその例の一つです。
ほかにも、サラダ油のように油を精製する過程で高温処理したときに発生するものもあります。
このトランス脂肪酸は油を加工するときに出るもの以外にも、牛や羊といった動物由来の肉や乳製品にも含まれています。
■食油にトランス脂肪酸はどのくらい含まれている?
100gあたり
・マーガリン・・・3.2g
・ショートニング・・・4.5g
・ファストスプレッド・・・1.2g
『農林水産省 有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成25~26年度)』より
・サラダ油・・・1~1.2g
『食品メーカー独自の測定値より』
日本人の一般的な食生活では摂り過ぎということはないようですが、体に悪いものであればなるべく避けたいですよね。
■健康に良い食油の選び方とは?
・加工方法
・脂肪酸の種類
この2つが大きな柱といえます。
加工方法において、高熱を加えながら精製する、体に悪影響がある溶剤を使っているといった油は体への害があると考えられています。
油以外の物質が発生しないように製造されていること、がポイントですね。
もう一つは脂肪酸の種類です。現代人が最も減らしたいのは「リノール酸」です。
リノール酸を含む油は多くありますが、成分的に割合が少ない油を選べるといいですね。リノール酸が少ない油は加熱調理に向かないものもあるので、バランスよく使うことが大事です。
■どれが健康的?おすすめの健康効果がある食油
・米油
オレイン酸とリノール酸がバランスよく入っています。
リノール酸はよくないのでは?と思いますが、米油にはリノール酸がもたらす「過酸化物質」をおさえるビタミンEも多く含まれています。
クセがなく、加熱しても酸化しにくいため使い勝手の良い油です。
・オリーブオイル
オレイン酸の含有量が多い油です。オレイン酸は善玉コレステロールをそのままに、悪玉コレステロールを下げる作用があります。
加熱しても酸化しにくいため、加熱調理にも向いています。オリーブの独特な香りが特徴です。
・えごま油
αーリノレン酸が多く含まれる油です。魚などに含まれるαーリノレン酸は、現代人に最も不足している脂肪酸です。
αーリノレン酸は脳をはじめとした体の細胞の活性化を促すことが期待できるので、積極的にとりたいですね。加熱に弱く酸化しやすいので、生食が基本です。
・ココナッツオイル
中鎖脂肪酸が多く含まれている油です。中鎖脂肪酸は体内にたまりにくく、体脂肪が増えにくいことから、健康的な油といわれています。
加熱に強いですが独特な甘い香りが特徴なので、調理方法を選びます。
■まとめ
● トランス脂肪酸は製造過程で水素を入れることや加熱処理で発生する
● 加工油以外にも牛や羊といった肉にも入ってる
● リノール酸以外の脂肪酸が多く含まれている油を選ぶとよい
● 体に良い油といわれているものも調理方法によって選ぶ必要がある
トランス脂肪酸は摂り過ぎると病気の原因にもなります。
かといって、ほかの油を摂り過ぎるのはよくありません。カロリーや調理方法に合わせた油を適量使うことが、上手な油とのつきあい方といえますよ。
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